今回の旅のテーマは「古事記を旅する ~黄泉(よみ)の国編~ モデルコース紹介」です。
「黄泉の国」と聞いてもあまりピンとこないなぁ。国生みやヤマタノオロチ退治なら聞いたことあるけど。
こんな印象を持つ方も多いのではないでしょうか?
しかしながら、「黄泉の国神話」は死後の世界観、人間の寿命の起源、日本で初めての夫婦決別など、非常にドラマチックなストーリーとなっているんです。
本記事の内容
- 黄泉の国とは?
- 黄泉の国がある場所
- 黄泉の国神話はどんな話?
- 黄泉の国神話ゆかりの地の見どころ
上記の流れで、神話の概要に触れつつモデルコースを紹介していきます。
旅の概要
- 歴史がある神社や史跡を見ることができる
- 神話の雰囲気感を感じることができる
- 御朱印巡りができる
- 公共交通機関で行くのが難しいところも
- 社務所の営業時間や不定期休業に注意
- 歩きやすい服装や靴を用意
SNSが普及した昨今においてもあまり情報が出ていないマニアックな場所を巡ります。
古事記や日本書紀を読んだことがある方ならその世界観と魅力を感じることができると思いますが、基礎知識なしの場合は一つ一つの訪問地の規模が小さく物足りなく感じるでしょう。
その場合は、メジャーな観光地を巡る合間に興味があるところだけ訪問するのがおすすめです。
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Marc (@marc_freelancer)
- 歴10年以上のフリーランス&ノマドワーカー
- 全都道府県への旅行達成済み
- 神社仏閣参拝数100以上
- 日本100名城の達成進捗70%
- 沖縄離島の総宿泊数80日以上
旅の前に知りたい神話の概要
まずはこのモデルコースのテーマとなっている「黄泉の国神話」の概要についてざっくり触れておきましょう。
黄泉の国とは?
黄泉の国とは昔の人が考える「死者の世界」のことです。
現代的な表現でいうと「あの世」という表現が近いイメージかと思いますが、俗に言う天国や地獄とは違う世界のようです。
「よみ」という語源については、古来の日本語の発音から転じた説、中国語の単語から転じた説など諸説あります。
黄泉の国はどこにある?
黄泉の国は島根県にあったとされる説が有力で、実際に今回のモデルコースで紹介する各所も、島根県の安来市、松江市、出雲市にあるものです。
一般的にはこれらの場所にあった地下世界(埋葬地、古墳内部?)だと認識されていますが、山の上にあったという説もあります。
黄泉の国神話はどんな話?
物語は国生みの女神イザナミが火の神カグツチを産んだ際に亡くなり、黄泉の世界に旅立つところからから始まります。
夫であるイザナギが愛する妻を迎えに黄泉の国へ向かいます。
イザナギが黄泉の国に到着すると、イザナミと再会します。しかし、イザナミは黄泉の国の食べ物を食べてしまったため、もはや黄泉の国を離れることができないとイザナギに伝えます。
イザナギの説得もあり、イザナミは黄泉の国から離れるため「黄泉の国の神へ相談に行くから、その姿を決して見ないで」とイザナギに言い残し奥にこもります。
「決して見ないで」ということは…。ダチョウ倶楽部的なやつですね。
しかし、いくら待ってもイザナミは戻りません。業を煮やしたイザナギはついにイザナミが入った御殿に立ち入ります。するとそこにはうじ虫にまみれ、雷神に取り憑かれたイザナミの姿がありました。
イザナギはイザナミの姿を見て恐怖し、現世に逃げ帰る決意をします。
イザナミと黄泉の国の軍勢は彼を追いかけますが、イザナギは霊力が宿る桃を投げるなどして何とか逃げ帰り、千引の岩(ちびきのいわ)で黄泉の国の入口を塞ぎ、イザナミと現世との間に永遠の隔たりを設けたのです。
この千引の岩で隔たれた二人。そこでイザナミが復讐と決別の意味を込めて「あなたの国の人間の命を毎日千人奪う」と言います。それに対しイザナギは「それならば、毎日千五百人の子どもを生ませる」と対抗します。
こうして夫婦決別したイザナギは、黄泉の国の穢れを払うための禊に向かいます。
神話的に言うと、今の日本はイザナギのパワーよりイザナミの呪いの方が大きくなっている状態なのです。
事前知識としてこれだけ覚えておくだけでも旅の楽しさが増します。
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旅のポイント
今回のモデルコースがより楽しくなるポイントを3つまとめてみました。
神話の知識があるとより楽しめる
島根県は『古事記』『日本書紀』ゆかりの神話の里です。
今回紹介する「黄泉の国神話」以外にも「ヤマタノオロチ」「出雲の国譲り」といった有名かつ重要な神話の舞台でもあります。
事前に基礎知識をつけておくだけで旅の深みが増し、より楽しく旅ができるでしょう。
移動はレンタカーがおすすめ
島根県には上記の様にたくさんの歴史ある観光地があります。
しかしながら、近年の過疎化・少子高齢化の影響で、路線バスの減便や廃路、タクシー運転手不足などの問題となっており、交通機関を観光に最適化した形で利用するのは難しいです。
効率よく移動するにはレンタカーがベスト!
事前にしっかり予約しておくことをおすすめします。
余裕を持ったスケジュールを立てる
今回巡る島根県の安来市・松江市・出雲市は、県内の移動とはいえ、地図で見るとわかるようにかなり広域な旅になります。
神社は16時~17時に社務所が閉じてしまうので「せっかく行ったのに御朱印をいただけなかった」なんてことになると悲劇です。
余裕を持った旅のスケジュールを立てましょう。
旅のスケジュール
それでは黄泉の国神話ゆかりの地と移動ルートを紹介します。今回は余裕がある1泊2日の旅程です。
1日目の旅程
まず1日目は安来市・松江市にある伝承地を巡ります。
スタート:米子鬼太郎空港
米子鬼太郎空港からスタートです。
空港では鬼太郎がお出迎え。実は鳥取県境港市は作者である水木しげるさんの出身地だそうです。
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比婆山久米神社(ひばやまくめじんじゃ)
最初の訪問地は比婆山久米神社。ここは古事記に記される最初の山であり、イザナミが埋葬されたという比婆山の麓にある神社です。
子授かり、安産、子育のご利益があります。
基本情報
所在地 | 〒692-0217 島根県安来市伯太町横屋486 |
営業時間 | 終日参拝可 |
定休日 | 要確認 |
電話番号 | – |
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久米神社 奥宮(くめじんじゃ おくみや)
比婆山久米神社の本殿向かって左手に小さな山道があり、奥宮へはそこから1キロ程の軽登山です。
かなり足場が悪いですが、山頂まで登ると朽ちたイザナミの陵墓(お墓)を見ることができます。
風に木々が揺れる音と朽ちた神社がかなり独特の雰囲気でした。
比婆山久米神社をもっと詳しく
足場も悪く人気もないことから単独(特に女性)の登山はおすすめできません。登る方はくれぐれも気をつけてください。
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揖夜神社(いやじんじゃ)
『出雲国風土記』に伊布夜(いふや)社として記載されている創祀年代が不詳の古社です。
御祭神としてイザナミが祀られており、次で紹介する黄泉比良坂を訪れる前に多くの方がこの神社に参拝しています。
揖夜神社をもっと詳しく
基本情報
所在地 | 〒699-0101 島根県松江市東出雲町揖屋2229 |
営業時間 | 終日参拝可 ※社務所は9:00~17:00 |
定休日 | 年中無休 |
電話番号 | 0852-52-2043 |
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黄泉比良坂(よもつひらさか)
神話の概要で解説した舞台となったのはまさにここ。
この世と黄泉の国の入り口を塞いだと言われる千引の岩や、イザナギが投げた桃を彷彿させるやまももの木があります。
また、神話からインスピレーションを受けたと思われる「天国へのポスト」というものが設置されており、大事な人を亡くされた方が天国にいるその人に向けて手紙を投函することができます。
手紙は後日お焚き上げするそうです。
黄泉比良坂をもっと詳しく
千引の岩は思ったより小さかったですが、一緒に旅した神話に全く興味がない友人も「ここは何かを感じる」と言っていました。
基本情報
所在地 | 〒699-0101 島根県松江市東出雲町揖屋2407 |
営業時間 | 終日参拝可 |
定休日 | – |
電話番号 | 0852-52-2428 |
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神魂神社(かもすじんじゃ)
国宝に指定された国内最古の大社造の神社です。
主祭神としてイザナミ、イザナギも合祀しており、他にも複数の境内社があります。まさに神々の住まいと感じさせる荘厳さ。
神魂神社をもっと詳しく
ネット上の口コミ等を見ると社務所が閉じる時間が早く、営業日も少ない可能性があります。御朱印帳を頂きたい場合は早めの参拝がおすすめです。
基本情報
所在地 | 〒690-0033 島根県松江市大庭町563 |
営業時間 | 終日参拝可 ※社務所の営業時間は要確認 |
定休日 | – |
電話番号 | 0852-21-6379 |
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ゴール:出雲グリーンホテルモーリス
翌日は出雲市の海岸沿いまで移動なので、出雲市内のホテルに宿泊しましょう。
おすすめは「出雲グリーンホテルモーリス」です。
このホテルをもっと詳しく
きれいな客室と充実の館内施設、美味しい食事が揃ったコスパ抜群のホテルでした!
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基本情報
所在地 | 〒693-0008 島根県出雲市駅南町2-3-4 |
営業時間 | チェックイン:15:00〜29:30 |
定休日 | 年中無休 |
電話番号 | 0853-24-7700 |
以上が1日目のスケジュールでした。
黄泉の国神話と関係はないのですが、時間があまりそうであれば神魂神社参拝後に松江市近郊で観光しましょう。
特に「国宝 松江城」がおすすめです。
2日目の旅程
2日目は一箇所のみです。
スタート:出雲グリーンホテルモーリス
ホテルをチェックアウトし、モデルコース最後の目的地「猪目洞窟」に向かいます。
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猪目洞窟(いのめどうくつ)
猪目洞窟は「夢に出ると必ず死ぬ」という言い伝えがある洞窟で、古来から「黄泉の穴」と呼ばれる伝承地です。
洞窟からは弥生時代の人骨や出土物が発掘されていることから、国指定の史跡にもなっています。
猪目洞窟をもっと詳しく
ググった時に「心霊」や「人骨」といった検索予測が出たので焦りましたが、心霊スポットではなさそうです。
基本情報
所在地 | 〒691-0024 島根県出雲市猪目町1338 |
営業時間 | – |
定休日 | – |
電話番号 | – |
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ゴールからの出雲観光へ
今回の「黄泉の国神話のモデルコース」はこれで終了です。
2日目はかなり時間が余ると思うので、近くにある日御碕神社と灯台、出雲大社などの出雲観光を是非楽しんでください。
- 出雲大社
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言わずと知れた日本を代表する神社。縁結びの御利益で有名です。
- 出雲弥生の森博物館
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古代出雲の歴史を知ることでその後の旅がより楽しく。
- 日御碕神社
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歴史ある美しい朱色の神社。近くの灯台からのサンセットが最高。
- 木綿街道
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昔ながらの建物が保存されたノスタルジックな街歩きが楽しめます。
- 須佐神社
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須佐之男命(スサノヲ)を祀る神話に登場する古社。
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良き旅をお祈りしております!
今回紹介した場所に自分が行きたい場所を追加し、モデルコースを自分流にカスタマイズしてみてくださいね。
まとめ
最後に本記事のまとめです。
- 歴史がある神社や史跡を見ることができる
- 神話の雰囲気感を感じることができる
- 御朱印巡りができる
- 公共交通機関で行くのが難しいところも
- 社務所の営業時間や不定期休業に注意
- 歩きやすい服装や靴を用意
実際のルートと訪れる場所を確認してみましょう。
- 移動距離
-
約22km
- 移動時間
-
車で約1時間程度(観光時間を含まず)
今回の「古事記を旅する ~黄泉の国神話編~ モデルコース紹介」はいかがだったでしょうか?
神話を軸に置いたマニアックなスポットを紹介しましたが、この記事をきっかけに興味がある場所を見つけていただけたら嬉しいです。
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