今回のテーマは「バブルの遺産巡り~水上温泉編~」です。
かつては活気に満ちた温泉街として賑わいを見せた水上温泉。
しかし、バブル崩壊後、時代の変化とともに多くの宿泊施設が廃業し、その跡地は今では「バブルの遺産」としてひっそりと佇んでいます。
SNSでは、これらの廃墟群が「ノスタルジック」な雰囲気を持つ観光スポットとして注目を集めており、廃墟を巡る散策や写真撮影を楽しむ人々の姿が増加しています。
この記事では、そんな水上温泉街を散策しながら、その歴史や過去の繁栄を感じてみたいと思います。
水上温泉について
水上温泉の実際の雰囲気を紹介する前に、当該の温泉地がどのようなところなのかをざっくり解説します。
基本情報
まずは水上温泉の基本情報です。
- 所在地
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群馬県利根郡みなかみ町
- 交通アクセス
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JR上越線「水上駅」から徒歩、またはバスでアクセス可能
- 温泉の特徴
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泉質:単純温泉、アルカリ性単純温泉
効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復など
水上温泉は、昭和期から平成初期にかけて非常に人気を誇った温泉地です。
最盛期には100を超える宿泊施設に加え、飲食店や娯楽施設が軒を連ね、多くの観光客で賑わいました。
しかし、バブル崩壊を境に観光客が減少し、温泉街は次第に衰退していきます。
廃墟街となった理由
主な理由は、以下の歴史的な背景や要因に起因しています。
- バブル崩壊の影響
- 観光トレンドの変化
- 施設の老朽化
- 地域の衰退
バブル期には、大規模なホテルや旅館が次々と建設され、社員旅行などの団体客で賑わいましたが、バブル崩壊に伴いこれらの団体客が減少し、多くの施設が経営難に陥りました。
さらに、1990年代以降は、海外旅行や他の国内リゾート地への観光トレンドの変化が影響し、温泉地の人気が低下してしまいます。
その結果、維持や改修の費用が捻出できず、多くの宿泊施設が廃業し、バブル期に建設された施設の老朽化が進んでしまいました。
地域の過疎化と少子化による人口減少も重なり、温泉街のさらなる衰退を招いたのです。
水上温泉街を散策
それでは、実際に温泉街の雰囲気を紹介していきます。
駅前
駅前には飲食店やお土産店が並んでいますが、その多くは閉じられています。
散策前の腹ごしらえとして、今回は駅前で唯一開いていた「くぼ田」という、そば・うどんのお店に入りました。
温泉街の飲食店の営業状況はわからないので、散策前の食事を済ませたい場合はこちらがおすすめです。
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温泉街へ向け散策開始
温泉街に行くには、水上駅を背に左に進んでいきます。
駅を出発し徒歩で約1~2分、有名な廃墟ホテル「ホテル大宮」があります。駅からも近く、当時は賑わっていただろうことが予想されますが、今は見る影もない姿です。
ホテル大宮を通り過ぎたところには、レトロな書店をリノベーションしたカフェがありました。
ボロボロになって朽ちた吊り橋。かつては川の向かいにある温泉街への通り道として利用されていたのでしょうか。
温泉街までの道のりは、利根川と線路に挟まれたのどかな一本道です。
所々で観光地だった面影が残っています。
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温泉街の中心部
水上駅から約10分ほど歩くと中心街に到着します。
温泉街手前の橋からは、谷川岳を一望できる素晴らしいの景観。
温泉街に入ってしばらくは小さな飲食店が並んでいますが、多くは閉店状態。
温泉街に入ってほどなく、みなかみで有名なスイーツ「大とろ牛乳」の自販機があったので、食べ歩きしながら進みます。
シャリシャリ感のある濃厚なミルクアイスです。
平日の昼間ということもあってか、全く人気はありません。
道沿いの店舗には、温泉街としての雰囲気を感じさせる看板が多く見られます。
温泉街の定番娯楽である射的場。こちらは店内を覗いてみると、景品が並んでいた台らしきものを見ることができました。
昭和の雰囲気を感じるレトロなメニュー表。修正した跡も見られます。
未だ営業中?昔ながらの金物屋。
ノスタルジックな雰囲気の中華料理屋。昔はこんな絵が飾られてるお店って結構あった気がします。
現在は温泉街の多くのお店が閉業しているようですが、案内板をみると、当時どれだけの店舗が立ち並び、賑わっていたかがよくわかりますね。
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この看板が見えたら温泉街のはずれです。周辺は完全な空き家街で、その寂しげな雰囲気はちょっと独特な感じ。
温泉街の入口から、ゆっくり散策しても所要時間は10分程度の道のりでした。
水上温泉街で人気の宿
ここまでは温泉街の寂れた一面を紹介してきましたが、明るい一面にも触れていきましょう。
水上温泉では近年、新たな宿泊施設の開業や、既存の宿のリノベーションが進められ、観光地としての活気を取り戻すための取り組みが続けられています。
今回散策したルート沿いにも人気&おすすめの宿があるので、いくつかピックアップして紹介します。
みなかみホテルジュラク
谷川岳を望むロケーションにある温泉リゾート。3つの大浴場には12種類のお風呂があり、自然の景色とともにゆったりとリラックスできます。
ダイニングでは地元食材をふんだんに使用したビュッフェが提供されており、季節ごとに変わるメニューも魅力的です。
源泉湯の宿 松乃井
広々とした大浴場と露天風呂が自慢で、源泉掛け流しの温泉を贅沢に楽しめます。温泉は肌に優しい泉質で、心身ともにリフレッシュ。
また、客室は和風の落ち着いた雰囲気で、地元食材を活かした料理が提供され、四季折々の料理が楽しめる点も魅力です。
坐山みなかみ(旧:水上館)
歴史ある「水上館」がリニューアル。伝統的な趣とモダンさが融合した快適な宿となっています。
川沿いの静かな環境にあり、露天風呂からは四季折々の景色が楽しめます。落ち着いた雰囲気の客室から川を眺め、ゆったりとした時間を過ごすのに最適です。
あらたし みなかみ
2022年11月オープンした「あたらし みなかみ」は、新しい体験(おもてなし)がコンセプトの温泉ホテルです。
大浴場のサウナにはオートローリューを完備。全室客室露天付のラグジュアリーかつモダンな宿泊体験が可能です。
みなかみの自然を楽しむお宿 MICASA
みなかみの自然を存分に楽しむことができるスタイリッシュな宿。客室はシンプルながらも洗練されたデザインなのが特徴です。
ひとり旅からファミリーまで、アットホームな雰囲気で、リラックスできる時間を過ごせるでしょう。
まとめ
最後に本記事のまとめです。
今回の散策コースは上記の通り、シンプルなルート。
片道20分程の短い道のりですが、昭和からバブル期の温泉街の雰囲気を体感しつつ、ノスタルジックな散策を楽しむことができます。
温泉街自体は寂れてしまっているものの、上記で紹介したような魅力的な宿もあります。
都心から気軽に行ける温泉街をお探しの方は、ぜひ水上温泉を検討してみてはいかがでしょうか?