- 独立したいけど何からやるべきかわからない
- 独立するための具体的な計画の立て方が知りたい
- 自分がやろうとしている事業を整理して戦略を練りたい
こんにちは、Marcです。
今回は『フリーランスとして活動するための事業計画の作り方』がテーマです。
『事業計画の作り方』と聞くと「形式ばっている」「難しそう」といったイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし、今回解説する手法を使えぱ、体系的に自身の事業を理解できるため、事業計画の作成がスムーズに進むかもしれません。
「独立したいけど何からやるべきかわからない」といった方は是非一度試してみてください。
事業計画を作る意味
「計画なんてめんどくさい」
「フリーランスにそんなもの不要」
という考えの方も多く、実際に稼いでる方でも「作ったことない」というのが多数派。全員に必須のものではありませんが、以下のポイントに当てはまる場合は事業計画を作るべきと言えます。
- 自分でやることを決めるのが苦手
- 何からやるべきかわからない
- やることが溢れすぎて整理できない
フリーランスとして活動することの第一歩は「自分のやることを自分で決める」ということです。上記のような状態に陥っている場合は、自分自身のやりたいことを整理し、事業計画を作成してみるのがおすすめです。
事業計画を作るメリット
目的の明確化ができる
独立したいと思うには何か理由があるはずです。
- 好きなことを仕事にしたい
- 会社ではできない経験がしたい
- ライフワークバランスを重視して暮らしたい
などなど、様々だと思います。
改めて目的を客観視することで、よりそれを達成したくなったり、「独立じゃなくてもいいかも」といった気付きがあるかも知れません。
ビジョンを考えることはその後のモチベーションにも繋がります。
自分の強み・弱みを見直しできる
独立すると、沢山のライバルがいるなかで中でどうすれば仕事を勝ち取っていけるかを考える必要があります。その際、自分の強み・弱みを理解して強みを伸ばすことはもちろん、自分が弱い分野では戦わないということも大事です。
自分にとって勝率が高い場所がどこかを計画を練りながら考える機会になります。
やるべきことの洗い出しができる
事業計画を立てることで、独立前に準備すべきことや、独立後にやらなくてはいけない作業の洗い出しができます。
独立前の準備
- 提出する書類の準備
- 必要な知識の学習
- 口座開設やクレジットカード作成
本業以外に必要な作業
- 営業活動
- 請求・入金確認
- 税務会計(確定申告・帳簿など)
上記は一例ですが、一度事業が走り出すと、時間がとれなかったり、場合によっては本業よりも時間がかかってしまう作業(特に税務関連)もあったりします。
やるべき作業の洗い出しを行い、本業に集中できる環境を作ることを第一に置きながら計画を立てていきましょう。
どんな事業計画を作ればいいのか
会社で事業計画書を作る場合は、予算を確保したり、融資を受けるため、他者に伝えることを目的とした形式的な資料を作ることも多いです。
しかし、個人の場合、融資を受ける際の資料となると話は別ですが、基本的に形式的な事業計画書を作成してもあまり意味がありません。
抑えておくべきことは以下2つ。
- 自分自身が行う事業の全体像を理解する
- そこから割り出した課題を確実にこなしていく
『1』については次のセクションで解説する手法を使って整理します。『2』についてはクラウドのタスク管理ツールやプロジェクト管理を使って課題を管理していけば十分です。
単に「事業計画を作る」というよりも、「事業の見直しや改善を習慣的に行う環境を作る」ということが大事になってきます。
自分のやりたいことを整理しよう
自分がやるべき課題を割り出し、それを体系的に整理するためのおすすめの本があります。それがこちら。
これは先輩経営者に教えてもらった本なのですが、項目を埋めていくだけでビジネスモデルの構造が見えてくるので、自分のような頭の弱い人間でも非常にわかりやすく、様々なシーンで利用してきました。
同じ著者の別書『Business Model Generation』というビジネルモデルを考えるための本があるのですが、こちらの『Business Model You』はそれを個人のキャリア形成やブランディングに置き換えた書籍です。
様々なロールモデルが掲載され、自分がフリーランスとして活動する上で参考になる情報を様々な視点から見ることができます。
パーソナル・キャンバス
こちらが本の中で紹介されているパーソナル・キャンバスと呼ばれるものです。この表を使い、自分がフリーランスとして活動していく上での関連事項を整理していきます。
引用:https://community.businessmodelyou.com
こちらは英語ですが、実際の書籍は全て日本語化されているのでご安心を。
※大元の出典がわからないので引用を控えましたが、日本語のキャンバスはこちら
表の見方
基本的な表の見方を説明します。表の中心に『How You Help』という項目があります。これは、フリーランスとして活躍していく上で、自分が顧客にどのような価値が与えられるか、どのように役立てるか、といったことを書いていく項目になります。
ここを中心とし、
- 左側は自分が事業する際に必要な要素やコスト
- 右側は顧客との関係性と収入を得る流れ
となっています。
これを埋めていくと、自分が行おうとしている事業が誰の役に立てるのか、どうアプローチしていくべきか、どういったパートナーが必要か、と言ったことが整理できます。
パーソナル・キャンバスの埋め方
合計9個のブロックがありますが、どこから埋めていくか悩んでしまいますね。
基本はどこからでもOKです。
悩んだ場合は、「フリーランスのプログラマーになりたい」といったゴールを設定します。その上で、自分がそうなった時に「どういう価値が提供できるか」ということを考え、真ん中の項目から埋めていくといいでしょう。
How You Help(与えられる価値)
上記で書いた「自分が顧客に与えることができる価値」に関する項目です。どのように役立つことができるかを記入します。
- ホームページの制作
- システム開発
- Webサイト運営のアドバイス
- SEO対策
などなど、とりあえず思いつくところを書いていきましょう。
Who Helps You(助けてくれる人・パートナー)
ここは自分の仕事を助けてくれるパートナーになりうる存在を記入します。
例えば、ホームページ制作を受託した場合、自分には厳しいデザイン要件を要望されたらWebデザイナーの助けが必要です。また、作業に集中したいようであれば、Webディレクターのようにフロントに立ってくれる人が必要ですね。
自分がフリーランスとして活動を開始したら、どのような案件を取りに行くかを現実的に考えて埋めてみましょう。
What You Are / What You Have(自分の知識や資産)
ここは自分が得意とすることや自分が持っている知識について記入します。
「PHPの開発なら自信がある」「顧客とのやり取りが得意だ」とかです。仕事において得意なことを書きましょう。それ以外でも専門的な知識があればとりあえず書いてOK。
例えば、自分が『日本のお城』について詳しかった場合、その知識を生かして『外国人旅行者向けの日本のお城解説サイト』を作れるかも知れません。
そうなれば一番最初の『How You Help(与える価値)』に、『外国人旅行者に日本のお城の楽しみ方を伝える』と言った価値が追加できますよね。
What You Do(大事な活動)
ここでは、後述する『顧客への提供方法』や『顧客との関係性』に関連する大事な活動を記入します。
プログラマーであれば『コードを書く』ことがその活動にあたります。それに加えて、フリーランスとしてやっていく上での営業活動や請求業務もそうですね。その他にも、経験に基づく自分だからできることを書いてもいいでしょう。
What You Give(コスト)
これが左側の最後の項目です。
直訳すると「あなたが(仕事に対して)何を与えるか」と言った感じですが、わかりやすく言うと仕事において「どういったコストがかかるか?」という意味合いです。
例えば、
- 時間
- エネルギーや気力
- ストレス
- 家族との時間
もそうですし、
- Webデザイナー(パートナー)への外注費
- ドメイン費・サーバー費
- Adobe Creative Cloudの利用費
- WordPressのテンプレート購入費
などの事業経費もそうです。
仕事をすることによってどのようなコストや犠牲が伴うかを考えて記入してみてください。
Who You Help(顧客)
ここは自分の能力やスキルが誰にとって(誰のために)役立つかを記入します。つまり、顧客になりうる人や団体を指しています。
後々ここの内容をもとに営業方針を決定することになりますが、一番最初に解説した『与えられる価値』のところが具体的になればなるほどより具体的な方針を決定できます。
How They Know You / How You Deliver(チャンネル)
ここは顧客に対してどのように自分のことを知ってもらうか、またはどのようにサービスを提供するか、ということ記入します。
例えば、
- ホームページ
- SNS
- 広告出稿
- クラウドソーシングのサイト
などがそうです。
Roles / Relationships(顧客との関係)
ここは顧客に対し自分が果たす役割や関係性を記入します。
例えば、
- 専属的に関わる(SES・常駐など)
- 案件ベース
- 継続的に支援する
- 専門家として関わる
- 簡単なアドバイザーとして関わる
などです。
こういう顧客とは継続案件で、こういう仕事は案件ベースで、など具体的に考えてみるといいと思います。
What You Get(報酬)
ここは自分が行った仕事においてどういったものを手に入れることができるかを記入します。
報酬(お金)はもちろん、社会的な信用が得られる、新しい知識が得られるなど、お金以外の自分が得られる利益についても目を向けましょう。思わぬやりがいが見つけられるかも知れません。
タスクとして落とし込み、事業計画を立てていく
パーソナル・キャンバスを埋めたらある程度活動のイメージが見えてきているはずです。
しかし、『事業計画』と言うからには、パーソナル・キャンバスから分かった課題をタスク化し、それを達成するためのスケジュールを立てる必要があります。
その際は『独立前にやるべきこと』と『独立後にやるべきこと』に整理すると優先度を決めやすいです。
やれることは即行動
例えば『パートナー探し』は即行動できることのひとつです。
独立後の業務が始まってからだと、忙しくてなかなか人と会う時間の確保が難しい場合もあります。そして、苦労して見つけても、その人のスキルが十分でなかった…何ていうことも。そうなると余計な炎上を招くことになりかねません。
- コミュニティに参加して探す
- 知り合いに協力を頼んでみる
- 事前に副業として関わってスキルを確認する
こういったある程度時間がかかるタスクは早めの段階から着手しましょう。
思考と行動を繰り返そう
上記のように、実際にタスク割り出し、計画立ててこなしていくことでより自信を持った事業計画になるはずです。一つタスクをクリアするとまた新しいタスクが出てくるこのもあります。
- キャンバスからタスクを洗い出す
- タスクの実施
- キャンバスの更新
- 事業計画への反映
このような『思考と行動』を繰り返し、より精度の高い事業計画の作成を目指しましょう。
売上計画とキャッシュフローの作成
ある程度パーソナル・キャンバスができたら、最後に売上計画とキャシュフローを作成しましょう。
売上計画
『顧客』『チャンネル』『顧客との関係』から営業計画を作成し、既に決まっている案件収入も考慮しながら売上目標を決めます。
具体的な数字を決めるとなると悩んでしまう人も多いかも知れませんが、そう言った場合は単純に『独立前の手取り収入+経費』を元に決めてOKだと思います。
必要な経費についてはパーソナル・キャンバスの『コスト』の部分に書き出しているので、簡単に金額を割り出すことができますね。
400万円 ÷12ヶ月 = 33万円/月
33万円 ÷ 21営業日 = 15,714円/日
15,714円 ÷ 8時間 = 1,964円/時
例えばこんな感じで落とし込んでいくと、案件の時給が1,964円を割らないようにすれば目標が達成できることが分かります。始めはこの単価で正直に見積もりを出すと、時給割れしたり値切られたりします。なので倍程度の金額で出してもいいでしょう。
補足
最初のうちは時給度返しで目標金額の早期達成を目指すのもアリです。達成できれば気持ちも楽になりますし、自信も付くので。
ただ、このように時給を割り出した目的は、目標達成の足を引っ張っている仕事を理解するためでもあります。時給換算以上のメリットがあるなら別ですが、やらない仕事を自分で決めることもフリーランスとしてやるべきことの一つです。
キャッシュフロー
『前月の繰越金 + 当月の収入 – 予想経費(支出)』を元にキャッシュフローも準備しましょう。口座の残高だけしか見ていないと大変なことになる場合も…
独立する年齢や初年度売上にもよりますが、個人的には20代で初めて独立する場合、貯金を含めて2年程度のキャッシュフローをしっかり組むことをおすすめします。
前回の記事でも書きましたが、多くの場合、リピーターがついて収入が安定するまでそれなりの時間(1~3年位)がかかります。もしうまくいかなかった場合も、2年程度のキャッシュローを見ておけば早めの段階で状況を把握しやすいです。
少し弱気に思うかも知れませんが『撤退のタイミング』も考えておくことで、大きなダメージを受けずに再就職などのリカバリーも十分可能になってきます。
基本的な準備も忘れずに
ここまでは実務的な事業計画について話してきましたが、以下のような基本的な準備ももちろん必要です。忘れずに計画の中に組み込んでおきましょう。
- 国民年金への切り替え手続き
- 国民健康保険への切り替え手続き、または任意継続の手続き
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請書の提出
- 事業用口座やクレジットカードの作成
- 会計ソフトの購入・利用登録
- 名刺や印鑑などの備品の準備
まとめ
この記事をざっと整理すると以下の通りです。
- 自分の強み・弱みを理解する
- 独立前と独立後にやるべきことを洗い出す
- パーソナル・キャンバスを作成して整理する
- パーソナル・キャンバスは何度も見直して書き直していく
- 売上目標を立てる
- キャッシュフローを作成する
始めのうちはやるべきことがわからないからこそ試行錯誤が大事になってくると思います。
形式的な事業計画の書類を作ることを目標とするより、パーソナル・キャンバスを見直しながら継続的に自身のビジネスモデルと向き合う習慣を作ることを意識していきましょう。
最後に
今回は『フリーランスとして活動するための事業計画の作り方』をテーマに記事を書いてみました。もしよければ前回の記事も合わせて御覧ください。
本ブログの情報がこれからフリーランスとして独立を目指す方の参考になればうれしいです。